あずきのおはなし2

「おぐらとこしあんって、どう違うんですか?」
店頭でお客様からよく頂くご質問です。

どちらも小豆(あずき)のあんこですが、粒があるのがおぐら、ないのがこしあんです。

こしあんは濾す(こす=滓などを取りわけるため細かい目を通す。濾過する。広辞苑より)からこしあんなのですが、粒あんのことをどうして「おぐら」というのでしょうか。

それは、小豆の粒が鹿の斑点に似ているから。
鹿の斑点だと、なんでおぐら?
それは鹿といえば紅葉、紅葉といえば京都の小倉山、という連想から。(ちょっと苦しいですか?)
紅葉が点在する小倉山のまだらな情景を、直接小豆の粒々に結びつけた説もあります。(それでも苦しいですか?)

いずれにせよ、名前の由来は京都の小倉山。

小倉山は、平安時代に藤原忠平が

小倉山峰のもみぢば心あらば今ひとたびのみゆきまたなむ

と詠んだ紅葉の名所です。
おぐらの語源は、実はけっこう雅(みやび)なのです。

おぐらと並んでわかりづらいのが、うぐいす。

うぐいすはえんどう豆で作ったあんこのことで、緑色が鶯の羽の色と似ていることから、そう呼ばれています。緑に茶と黒がかかったような色を、うぐいす色と言ったりしますよね。

同じ鳥の名前でうずら豆というのがありますが、これはまた違う種類の豆です。茶色の斑点がある豆が、うずらの卵にそっくりなので、このように呼ばれます。甘納豆などによく使用されます。煮ると模様が目立たなくなってしまうので、この豆も名前がわかりにくいかもしれません。うぐいすとうずらを混同されているお客様も多いようです。

おぐら、こしあん、うぐいす。語源がおわかり頂けましたでしょうか。
食べてみたくなった方、おすとあんでるへのご来店をお待ちしております。

バックナンバーはこちら
トップへ戻る